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防風林「"物"の功績を正確に評価すべき【2019年3月2週号】」

 ▼東京港に日本初の南極観測船「宗谷」(3800トン)が係留され一般に公開している。当時の報道や映画『南極物語』などで樺太犬「タロ」と「ジロ」の名前は有名。
 ▼1956年11月に出航した同船には第1次観測隊員と共に犬19匹も乗船。翌年2月に南極大陸に到着したが、遠方の目的地へ雪上車で移動、艱難辛苦〈かんなんしんく〉のすえ昭和基地を設営した。初期の目的は予備観測だけの予定が、急きょ隊員の一部を越冬隊として編成し樺太犬と残留。翌年には、第2次越冬隊を編成し南極に向かうものの悪天候と氷に阻まれ、1次越冬隊員と犬数匹を収容するが15匹を残し撤退をやむなくされたのだ。
 ▼宗谷は59年、第3次越冬隊員を乗せ南極に向け出航。残留犬の命は絶望視していたが、大型ヘリで基地に到着した隊員は生存していた2匹の樺太犬に再会する。
 ▼宗谷は38年に進水し旧帝国海軍の連合艦隊に編入。戦後は復員兵輸送に奔走したのちに海上保安庁の巡視船として活躍。78年に退役し保存艦船となった。巡視船時代は海難救助で多くの功績を残し、「奇跡の船」などの称号を受けたという。
 ▼農業分野では、鍬〈くわ〉・鋤〈すき〉による田作りや手植え手刈りの時代から、田植機やコンバインによる機械化の足跡は茨城県つくば市の食と農の科学館などで水田農業の飛躍に資した技術として展示している。今後のゲノム編集やスマート農業体系は、何十年かのちの日本農業にどんな影響をもたらしているのだろうか。