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先端技術で防災・減災(14-15面)【2019年1月1週号】

 記録的な豪雨や相次ぐ台風など極端な気象による農業災害が多発する中、先端技術を活用して気象変動に打ち克〈か〉つ「防災・減災」に期待が集まる。研究機関では、情報通信技術(ICT)を活用することで農業施設の管理を効率化したり、最新型レーダーなどを用いた気象予測を利用したりするなど研究・開発が進む。現場で取り組まれている先進事例とともに、最新の研究成果を紹介する。

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大雨時の水路管理 ノウハウを見える化 ―― 立梅用水土地改良区・三重県多気町

190108_5.jpg 三重県多気町で全長約30キロの水路を管理する立梅用水土地改良区は、研究機関や企業と連携して情報通信技術(ICT)などを導入し、大雨時の効果的な排水や災害に強い施設整備などを進める。電子地図上に分水ゲートの操作方法や施設の点検状況などが記録できる「水利施設管理台帳システム」の実証に参加。問題点を把握し、管理ノウハウをデータベース化することで若手への継承にも役立てる。さらに、電力会社の協力で、遠隔地からスマートフォンなどで確認できる水位計を設置。大雨時の水位上昇を察知して早期対策に生かす。

〈写真:ゲート前に立ち、スマートフォンで情報を確認する折戸佑基さん〉


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果樹園の風害対策 スマホで台風を観察 ―― 下山康祐さん・青森県鶴田町

190108_6.jpg 台風などの強風を早期に察知して果樹の枝折れや落果などの対策につなげようと、青森県鶴田町大巻でリンゴ2.8ヘクタールを栽培する下山康祐さん(35)は、気象庁や米軍、海外企業など複数の予報を参照する。「いくつも見れば、災害を見つける可能性が高まる」と話す。園地でもスマートフォンで台風の進路や風向きなどを確認し、樹体に支柱を設置するなど被害軽減を徹底する。県内外の若手リンゴ農家にも無料通話アプリケーション「LINE」で情報を共有して注意喚起を促す。

〈写真:支柱で主枝・亜主枝を支えて対策を徹底〉


(14-15面)