安倍晋三首相は9月26日、米・ニューヨークでトランプ米大統領と会談し、新たに日米物品貿易協定(TAG)の交渉入りで合意した。米国がちらつかせる自動車などへの追加関税の発動をひとまず回避する代わりに、2国間交渉入りに引きずり込まれた格好で、今後日米自由貿易協定(FTA)交渉へと変質する可能性もある。さらに日本は農産品の関税扱いについて「環太平洋連携協定(TPP)の水準が最大」との立場だが、共同声明の文言は、日本の立場を「尊重する」にとどまり、米国との交渉は防戦一方になる恐れがある。ただ、TPPの水準でも国内農業への大きな打撃が懸念される中、さらなる譲歩は生産現場が容認しない。政府は、国内農業を犠牲にしないとの強い交渉姿勢で対応する必要がある。
(2面・総合)