▼政府の「働き方改革」に関する法制化が議論される中、国内の外国人労働者の数は昨年10月末段階で127万9千人、前年同期比18%と過去最多を記録したという。近年では、農業分野でも外国の人が圃場や施設で働く風景を目にする機会が多くなった。
▼思い起こせば約三十数年前の学生時代、高原野菜産地で収穫の援農アルバイトに夏休みの1カ月半ほど従事した経験がある。母屋とは別の棟に寝泊りし、賃金は1日当たり4千円弱と当時でも低賃金。3食付きで使い道も店舗もないため賃金の多くは手元に残ったが。
▼朝6時には圃場で作業開始、朝食・休憩後に再度圃場で作業、夕方6時に戻る生活。前半は子葉の間引きで腰痛に苦しみ、収穫に入ると段ボールの圃場外搬出に体力は消耗して、布団に入れば翌朝まで爆睡だった。
▼働いていた仲間には「青森のおばさん」と呼ばれる二人の高齢女性がいた。家事は嫁に任せ、毎年初夏から他県の産地に住み込みで働きリンゴ収穫が始まる頃に戻るという。「それで、家庭が丸く収まればいいんだよ」と話す津軽弁が耳に残るが、当時の自分には意味することは分からなかった。
▼各自がいろんな事情を抱えているのだから、成果だけを問う働き方など型にはめてはだめだ。重労働でも低賃金で雇える高齢者や学生・若者から、今は外国人に変化しただけなら進歩はない。改めて働き方改革や、外国人の技能実習制度などをもしっかり検証する必要がある。