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防風林「公約をしっかり吟味して選挙に対応しよう【2017年10月3週号】」

 ▼突然の衆議院の解散によって、国内は選挙戦が真っ盛り。安倍内閣の改造で体制を一新したばかり。朝鮮半島情勢に不安を抱える状況下、何故、国税も時間も費やしあえて政治の空白か? 各党選挙公約がそろい、党首論戦は信を問うべき争点の核心がどうも明確ではない。不透明な選挙劇場に見えなくもない。
 ▼心境の変化で、中国四大奇書の一つ『水滸伝(すいこでん)』を再び手に取った。原本訳ではなく吉川英治著の『新・水滸伝』、北方謙三版『水滸伝』との読み比べ。英傑(えいけつ)たちが理想郷に集結し終わる吉川版(未完、遺稿)に対して、水塞・梁山泊(りょうざんぱく)の隆盛と手汗握る巧みな戦闘描写で崩壊まで描く北方版。共に奸臣(かんしん)・高は悪役の極み。
 ▼皇帝側近から地方官吏までが賄賂で私腹を肥やし、罪なき人が捕らわれて遠隔地へ流罪や処刑が後を絶たない治世。天意により108人の豪傑が賊徒との烙印(らくいん)を押され、梁山泊に集まり「替天行道」の旗のもと、兵数で上回る官軍と死闘を展開する。
 ▼日本は、物語のような権力を私物化する宰相のいる腐敗国家ではなさそう。「悪吏は跋扈(はっこ)するが良吏はいるにはいる(略)。だが天の助けもあり悪い治世はそう長くは続くまい」と首領・宋江。窮地から逃げ延びた好漢に語り掛け梁山泊入りを誘う。
 ▼一部の国と異なり、幸い国民が選挙で政権を変えられる国にいる。その選択基準が公約であり国民との約束ごとだ。政権が公約に違わず実行しているか、厳しく検証し審判することが大切なのだろう。