村の総面積約105平方キロのうち、約93%を山林が占め、畑地は1%にも満たない――。東京都西部にあり、山に囲まれた檜原村には、在来種の野菜が村人の手で守り伝えられている。同村の鈴木留次郎さん(71)は「むかしのキュウリ」と呼ばれ親しまれてきた半白系のキュウリを地区名にちなんで「白岩(しらや)ウリ」と名付け、0.5アールの畑地で栽培する。「調査を進めていくと、郷土史にまでつながるスケールの大きさに驚いた。村を元気づける起爆剤になると自信がついた」と話す。この白岩ウリを、45品目登録されている「江戸東京野菜」に認められ、村の特産品に育てようと、安定生産に努めている。
(3面・暮らし)
〈写真:「今年は採種ができ、来年につながる」と白岩ウリを収穫する鈴木さん〉