農林水産省が8月31日に正式決定した2018年度農林水産関係予算概算要求の研究分野では、政府・与党の「農業競争力強化プログラム」を踏まえ、農家からの要望を把握した技術開発や、ICT(情報通信技術)・AI(人工知能)など先端技術の現場への応用・展開に重点を置いた予算を盛り込んだ。
農林水産技術会議事務局では、目標を明確にした研究や現場での応用・展開を促進する「戦略的な技術開発の推進」に125億2300万円を計上。現場で要望を把握し、農家・企業・大学などの連携を促す「現場ニーズ対応型技術開発」は、傾斜地向けの農薬自動散布機の開発や、ジビエ(野生鳥獣肉)活用のための効率的な運搬方法なども想定する。
さらに、新規の「高度先端型技術実装促進事業」(1億円)では、ICTやAIなどの活用促進に向け、オランダを参考に、民間企業などが研究機関と連携・協力する方式を検討・実証する。専門知識を持つ民間事業者による技術のコスト分析や市場調査などで事業化を促進。講演や実演会などを通じて生産現場への普及を図る。
そのほか、生産局の「生産体制・技術確立支援事業」(2億1千万円)では従来からの労働力確保などに加え、ICT導入について性能などを比較・検討できるウェブサイトを構築する。資材価格や流通の実態などを調査する「農業競争力強化プログラムの着実な実施に向けた調査」には2億円を計上した。
(9面・営農技術)