▼アベノミクスの日本再興戦略に沿った「攻めの農林水産業」に向けた農業改革が進む中、革新的な農業技術の創造と活用が期待されている。一方で、先進技術を生産現場へいかに浸透させていくかが課題となっている。
▼ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)など革新的技術、例えば小型無人航空機(ドローン)や地球測位システム(GPS)、無人走行トラクターなどだが、一部はすでに施設園芸や畜産、耕種部門などで導入が見られるようになった。
▼「新しいビジネスモデルが登場し、想像もつかなかった商品やサービスが生み出される」と安倍首相は言うが、その行き着く終点は、大規模法人やアグリビジネスに新規参入する大手企業。結局は、産業界支援が真意ではないかと思われる。
▼ある研究者は言う。「通常の栽培では、一定の限界収量を超えるとそれ以上は増加しない。その要因は、人による『環境の見誤り』と『管理ミス』による」と。植物工場では気温・湿度・作物ごとの生育状況を把握でき、精密な施肥や環境制御することにより飛躍的な増収が見込めるという。
▼これが企業や研究者が想定する"革新農業"の姿だ。作物や環境を数値に置き換えICTで計測・分析しAIが判断、ロボット作業で最大収量と収益を確保できる。だが膨大な導入費用を誰が出し回収に何年かかるのか?先端技術を利用しても人間が判断・管理するのが農業だろう。