▼農業後継者の「婚活事情」を本紙で特集した。未知の結婚相手を見つけてもらおうと、各自治体でも婚活イベントなどを積極的に開催しているものの、結果は「上々」という状況ばかりではないらしい。
▼後継者が就農や地元定住を決意しても、結婚し子供が誕生しないと次世代にバトンをつなげられず、人口は右肩下がり。生涯未婚率の増加と出生率低下は、大げさだが地域の存亡をかけた重要な課題。地元よりも、自然豊かな農村に興味を抱く都会の女性に、白羽の矢が集まりやすい。
▼男女別の出生割合はほぼ同数なのだから「地元男女をうまくマッチングすれば嫁不足は解決」と考えがち。だが「そう単純ではないから異郷の異性が対象」という皮肉な現状がある。幼なじみの女性は高校卒業後、地元農業の魅力を感じる前に就職などで都会にでる。農家出身の女性は、母親が忙しく働く姿を目の当たりにし農家との結婚は敬遠しがちだ。
▼幼い頃から「地元婚」の利点を地域内で発信し続け、「農家は仕事と家事で大変」との農業への固定観念を振り払えられれば、状況変化があるのでは。しかし今、農村部でも非農家住民の自治会組織への加入率は低迷、相互交流の場が減少傾向にある。縁談を取り持つ〝世話好き〟さんの姿さえ見えなくなってきている。
▼最近は、結婚前に新生活での規則を定める「婚前契約」も注目される。女性側の不安解消には名案だが、内容をよく吟味しないと、男性に「朝のゴミ出し」程度では済まない試練が待ち構えているかも。