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伊予生糸を守る【愛媛支局・2016年7月2週号】

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 【愛媛支局】西予市で生産される伊予生糸(いよきいと)」が今年2月、地理的表示保護制度(GI制度)に登録された(西予市蚕糸業振興協議会が申請)。地理的表示保護制度とは、国が地域の農林水産物や食品をブランドとして保護する制度。伊予生糸を守っているのは、市内6戸の養蚕農家だ。
 伊予生糸は古くから伊勢神宮や皇室の御料生糸として採用され、英国のエリザベス2世の戴冠式(たいかんしき)の衣装や能装束の復元にも使用されるなど、その高品質さが知られている。
 西予市野村町の松下誠さん(74)は、妻の厚子さんと養蚕業を営んできた。5月から10月に5期養蚕し、約130平方メートルの蚕舎で、糸が取れやすい繭作りを心がけている。
 蚕品種は、極細高級生糸に適したている「あけぼの」。蚕の餌となる桑は、約1.2ヘクタールの畑で自家栽培し、殺菌剤や殺虫剤は使わない。松下さんは「GI制度登録を機に養蚕業が増えていけば」と話し、「良い物が欲しいという人がいる限り、絶やしてはいけない」と厚子さんも続ける。

〈写真上:当日刈り取った新鮮な桑を8時間ごとに与える松下さん〉
〈写真下:回転蔟(まぶし)の中の繭〉