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緑化用コケ 都市部に売り込め【山形県・7月1週号】

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 【山形支局】都市部のヒートアイランド現象の緩和や、断熱効果によるエネルギー消費の節約が期待される緑化資材としては国内で唯一、コケの種苗・栽培から加工・販売まで手掛けているのは、山形市の株式会社モス山形・代表取締役社長の山本正幸さん(64)。コケビジネスの先駆者としてコケの可能性を追求し、耕作放棄地や不作付け耕地の解消にも一役買っている。
 98年に販売を開始した山本さんは、その後も研究・改良を重ね、ポリプロピレン製の栽培マットに種苗を植えつける方法や、生育期間を短縮させる手法を考案。開発から10年以上をかけ、コケの安定生産を可能にした。
 栽培マットで成長させたコケは、改良した畳用の大型ミシンを使い、別の素材に1メートル幅で縫い付けて固定する。屋根用で発泡スチロールにコケを縫い付け一体化させた「コケボード」、ビルの屋上や壁面用で不織布に縫製された「コケマット」が同社の主力商品だ。これまで全国の工場やビルなど、700カ所以上に納入したという。
 「地方最大の資源である農地を活用し生産したものを都市部に売り込まなくてはならない」と、コケ事業を各地に普及させる活動も行っている山本さんは、コケにより地方が再生することを期待しつつ挑戦を続ける。

〈写真:成長させたコケを「コケボード」に加工する山本さん〉