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防風林「埋もれた文化を掘ることも地域活性化に繋がる【2016年6月2週号】」

 ▼国内には名所・旧跡は数多くあり、自然がつくりだした国立(国定)公園のほか、神社仏閣や城郭など文化財指定された場所は、整備され観光地としてもにぎわいを見せる。
 ▼人気の城郭といえば、修復を終えたばかりの姫路城、地震で大被害を被った熊本城などが代表格か。明治維新を経て現存する天守のある城は、姫路城や松本城、松山城などわずか12城に過ぎず、大坂城や名古屋城も再建組だ。詳細な図面を基に復元したもののほか、風景画や想像だけで建築された模擬天守と呼ばれる建造物が比較的多いのだ。
 ▼一方、国内には城址・城跡が3万ほどとされ、役所や学校の敷地内に埋もれ確認できない遺構が多い。中世期は河川や山など自然の要害を背に土塁と空堀、柵だけの構造が多く、縄張図を片手に地形や配置から虎口や曲輪を想像し楽しむ趣味もある。
 ▼最近は、兵庫県の竹田城や福井県の越前大野城などが「天空の城」として人気。雲海に浮かぶ城跡を遠方から眺望するのが醍醐味(だいごみ)という。歴史好きの「歴女」や日本刀好きの「刀剣女子」のほか、CMの影響かツアーで一般の観光女子も押し寄せている。
 ▼先日、埼玉にある北条氏(北条早雲を祖とする武家)の支城跡を探索しに車を走らせた。ナビは目的地を知らせるが、看板や案内図もなく発見できずに城攻めをあきらめた。歴史に埋もれて文化財指定されず地元民からも忘れられた旧跡は多い。農法や食文化も同じ。住民が光をあて伝承しなければむらの活性化は見えて来ない。