「ピンチをチャンスに変えたいが、再建に向けてどうすればいいのか」と唇をかむ上野康博さん(67)。熊本県菊池市旭志で息子夫妻と肥育牛約310頭を飼養する。4月16日午前1時25分に熊本県を襲った最大震度7の「熊本地震」で被災した。牛舎7棟のうち2棟が倒壊し、おがくずを貯蔵する小屋が傾く被害が出た。夜明けとともに懸命の救出活動を行ったものの3頭が圧死、2頭が起立不能となった。生き延びた牛も、ストレスで餌の摂取量が減るなど、経営への影響が懸念される。NOSAI熊本(熊本県農業共済組合)は、職員も被災する中、被害発生直後から現地確認・損害評価に全力を挙げて取り組んでいる。被害申告を受けた牛の共済金は、5月26日に支払いを完了した。
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〈写真:「牛はストレスを感じている。食べる量が戻らない」と上野さん〉