継続が地域の力に
津波で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市に、いち早く営業を再開し、被災者の日常生活の安定を支援してきた農産物直売所「小さなやさいやさん」がある。女性農業者が栽培した農産物や加工品が棚を飾り、地域住民をはじめ多くの人に親しまれてきた。経営するのは、自らも被災者である同市竹駒町の小田日出子さん(67)。復旧が進むにつれて、直売所周辺には競合するスーパーマーケットやコンビニエンスストア、仮設店舗が立ち並ぶ場所に変わった。客数や売り上げも頭打ち傾向にあり、復興のシンボルから直売所経営の転換期にある中、「マイペースでもここで続けることに意味がある」と営業を続けている。
(8面・流通)
〈写真:買い物客に商品を手渡す小田さん(左)。「お客さんの笑顔にいつも救われている」と感謝を忘れない〉