「先祖が築いてくれたこの土地の景観を守っていきたい」と話すNPO法人「段畑(だんばた)を守ろう会」の山下憲穂(のりお)さん(70)。愛媛県宇和島市の市街地から車で40分ほど、遊子水荷浦(ゆすみずがうら)には、リアス式海岸の急斜面を切り開いた"段畑"が広がる。最盛期にはほかの地区も含めて全体で10キロ以上広がっていたが、高齢化などで徐々に縮小してきた。現在も残る段畑では、石垣が崩れるたびに一つ一つ人手で修復しながらジャガイモを作り続ける。農家や住民が結束し、守ろう会のもと、保存に努めている。
(3面・暮らし)
〈写真:集落から見上げるような段畑を前に山下さん〉