ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

防風林「中山間地農業を活性化させる機械化は施策が大事【2016年1月3週号】」

 ▼農地集積や大規模化が重視される「攻めの農業」では、中山間地域活性化への青写真は描ききれてないように見える。
 ▼農業専門紙記者などが選定する「2015年農林水産研究成果10大トピックス」が農林水産省から発表され、「中山間地対応栽培管理ビークル」(中山間ビークル)が高く評価された。
 ▼田植機をベースに後輪の上下駆動を可能にし、傾斜地や軟弱不整地でも姿勢を保ちながら走行し各種管理作業ができる。昨年1年間に報道された試験研究の中から話題性のある課題を投票し集計したものだが、以下は果樹や野菜の授粉省力化、遺伝子研究が多い。この中山間ビークルはICT(情報通信技術)やGPS(衛星利用測位システム)など耳障りのいい先進技術に頼らず実用的な農機に仕上げた。
 ▼高齢化や担い手不足にあえぐ地域で、中山間ビークルが傾斜地農業を再生させる起爆剤になるか?は、今後の中山間の活性化施策にかかる。他紙の記者も同じ思いで投票したに違いない。
 ▼効率化優先の農業施策では、失いかけている生産基盤や集落機能が蘇るなどとは誰も思っていない。山村の田畑で今、汗を流す農家の労力軽減や営農継続につながればいい。評価は台数ではなく、対象となる地域や農家に「必要」を感じさせる事ができるかだ。