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防風林「古人(いにしえびと)の知恵こもった暦、流されず毎日を堅実に【2016年1月1週号】」

 ▼新春を迎えた多くの家庭の壁には新しい暦が掛かっているはず。わが家では数年来、頂きものの古風な「日めくり暦(こよみ)」を使用する。発端は"毎日を有意義に"との考えからだった。
 ▼社名が印刷された暦を敬遠し好みの暦を購入する人も多いよう。昨年は元テニス選手・松岡修造氏の日めくり暦が話題になり、熱血ポーズ写真に添えた「僕は春夏秋冬いつも紅葉している」などの一言に、元気が出ると若者に売れたという。
 ▼大安・仏滅などの「六曜」や、気候の節目に引用される立春・雨水・啓蟄(けいちつ)など「二十四節気」は、大方の暦に表記されている。だが24の節気を3分割した「七十二候」を載せる暦は多くはない。
 ▼立春は「東風凍を解く(はるかぜこおりをとく)」「鶯啼く(うぐいすなく)」「魚氷を上ずる(うおこおりをいずる)」とその時季の自然の現れを示し、播種の最適日「一粒万倍日」と共に、農事暦などに活用。さらには「二十八宿」「十二直」など、古人(いにしえびと)は方角や天体の動きから一日の吉凶を占ってきた。
 ▼暦の示す運勢に従っていれば、もっと実り多き人生が開けていたのでは?と悔やまぬでもない。だが、近年の自然の移ろい加減は農事の指針たりえない。先人の知恵も参考に、暦で右往左往せず毎日を堅実に過ごそう。日めくりの習慣は続けるが。