工芸品作り30年以上
稲作の副産物とされる稲わらから生まれる文化や生活用品は、農家の知恵と工夫の結晶だ。農村の暮らしとともに発展し、現在でも正月の「しめ飾り」や神社の「しめ縄」、全国各地の祭事などで欠かせないものとなっている。しかし、生活用具としての需要低下や地力維持のためのすき込み、家畜飼料確保から作り手が減り続けている。水田が育み、地域の中で受け継がれてきたわら細工を次世代に残そうと活動する山形県鶴岡市長沼の斎藤栄市さん(80)を紹介する。また福島県奥会津三島町の「サイノカミ」を通して、農村に伝わる稲わら文化について千葉大学名誉教授の宮崎清さんが解説する。
(13面・特集)
〈写真:「稲わらは長ければ長いほど使い勝手がいい。しなやかさと弾力があるササニシキは、わら細工に一番適した品種だ」と栄市さん。稲わらの束を、力を込めてより合わせる〉