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天然の冷蔵庫「つぐら」 結びの技術を守る【福井県・11月4週号】

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 【福井支局】雪が降る前の男の仕事として受け継がれてきた、冬の天然冷蔵庫「つぐら」作り。大野市森山の源内武雄さん(76)が、その技術を守り続けている。
 同市内で唯一つぐらを作り続ける源内さんは「稲作文化には結びの技術が欠かせない。『ねじ込み』や『男結び』など何百通りもの結びを覚えたものだ」と話す。冬の風物詩として、どこの家庭の庭先にも置いてあったが、今はめったに見ることができない。
 つぐらの設計図はなく、親から盗んだ技術と勘を頼りに作り上げる。つぐらの使い方は、中にダイコンやハクサイ、キャベツなどの野菜を茎元を下にして入れ、雪が積もるのを待つだけ。温度と湿度がバランスよく調整され、野菜の糖度を増し、乾燥させずみずみずしさを保ちながら保存が可能だ。
 次世代に技術を継承することは難しく「現代の人は、『何も教えてくれない』とよく言うが、技術とは、手つきを見て盗むもの。教えてもらったことは、なかなか身に付かない」と源内さんは話す。

〈写真:つぐらを作る源内さん。「積んで蔵のようにするから『つぐら』と呼ぶようになったのでは」〉