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防風林「ドローン防除は有望ゆえに着実な普及を【2015年10月4週号】」

 ▼空の産業革命とさえいわれる小型無人機・ドローン。政府も「新たな産業の健全な発展を促しわが国の成長戦略に資する」として期待を寄せている。
 ▼農業分野でも作物生育や被害調査、施肥、播種、防除への利用が有望だろう。ところが、墜落などで通行人に危害を加えたり、建物への損傷といった事故が相次ぎ発生したことから、急きょ政府は、飛行可能な空域や運用ルールを定めた「改正航空法」を成立させ、12月初旬に施行する。機体から物件を落下させる場合、許可が必要になった。
 ▼産業用無人ヘリコプターによる病害虫防除は、農水省の利用技術指針に基づき機体登録や操縦者の技術習得、運航ルールに従った作業で長年の実績をもつが、これも許可手続きが義務となった。しかし今年、法規制がないグレーゾーンを背景に、生産現場の各地では散布装置を搭載したドローンでの防除が実施されたという報告を受けた。
 ▼危惧するのは、住宅や住民への危害のほか、飛散による他作物への誤散布だ。複数の回転翼を持つ無人機の場合、薬剤のドリフト状況、所定量を均一散布するための飛行高度・速度などが不明確のままでは、安全性を確保しているとは言えまい。
 ▼農水省は今年度末までに新たな指針をまとめる計画だが、実用化はそれからでも遅くない。共同防除が難しい時代、産業用無人ヘリを含めた無人機での防除は、将来の基幹になるのだろう。だからこそ、安全や精度を確認した機体とルールで着実に進むべきだ。