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防風林「日本独自の先進的な農業スタイルを目指そう【2015年10月3週号】」

 ▼人気ビジネス劇画の作者が、主人公名を冠した農業論を出版したというので読んでみた。
 ▼植物工場が普及するオランダは、単位面積当たりの生産額や労働生産性が高く、農産物輸出額も世界2位で「先進国型農業」の姿と称賛する。
 ▼日本は反面、土地利用型農業に固執するため基盤整備に膨大な費用が必要で、生産額も生産性も輸出額も低い。オランダは園芸作物を中心とした農産物輸出が多いが輸入もまた多いのだ。国民の栄養源となる穀類などの作物を、他国の耕地に委ねることが、国家の選択すべき道とは思えない。
 ▼植物工場は、培地・養液・光源・環境制御など高度技術の結集で、新規参入企業のほか、高齢農家や若手就農者への福祉や研修での活用が期待される。だが、栽培できる作物には限界があり、穀物や重量野菜など土地利用型に代わる営農方式として強調するには難がある。
 ▼土を耕す農業を放棄し、水田を植物工場に変えた先進国型農業で儲かるのは経済界だけだ。農家は制御盤を監視する作業員か。集落に人がいて農村文化を継承しつつ、高品質で収量性の高い品種育成、田畑輪換が容易な汎用水田の造成、機械やICTも活用した日本発の先進国型農業を目指したい。