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防風林「予算配分には物も人も大事で2者択一ではない【2015年9月3週号】」

 ▼二十数年前に亡くなった祖父の腕には古い腕時計が巻かれていた。地元土地改良区から贈られたという。2016年度の農林水産関係予算概算要求が総額で15年当初予算比114.8%、特に農業農村整備は22.5%の増額となった。
 ▼民主党政権時代に、「コンクリートから人へ」の方針で、公共事業費を大幅に削減し多くが戸別所得補償に向けられた。大区画化や揚排水機場・用水路の老朽化で修繕や更新が遅れ営農の行き詰まり感を抱く地区も多い。
 ▼自民党が政権を回復してはや3年。要求が増額したとはいえ、旧政権以前と比較しても、金額ではまだ隔たりが大きい。農地集積バンクによる集積・集約化の促進には、大区画化と田畑輪換が容易な農地造成も必要だ。
 ▼現場では、予算が組まれても計画通りに着工できない、という話も耳にする。数年の途切れた公共事業で地方土木業者が減少、震災復旧などに労働者が割かれるなど深刻さは増している。
 ▼古い腕時計は父親に託され、修理を重ね今も時を刻む。農業は「コンクリートも人も」大事であり、二者択一ではない。人がいるから物を維持できる。予算配分は緊急性とバランスを優先することが重要だ。