【広島支局】「生販一体で瀬戸田レモンの魅力を広めたい」という目標を掲げ、かんきつ農家としてスタートした井上裕文さん(31)。昨年11月に尾道市瀬戸田町に移り住み、先輩農家の指導を受けながら、250アールの園地でレモンや温州ミカン、「不知火(しらぬひ)」、ハッサクなど7種類のかんきつ栽培に精を出す。
自身が瀬戸田レモンの魅力を広めたいと思っていたこと、県がレモンのPRに力を入れていることなどから、瀬戸田町でのかんきつ栽培にチャレンジする決意をした。
かんきつ栽培の経験は全くなかったため、地元の農家に師事し技術を身に付けている。「瀬戸田はレモンの生産量が日本一の産地であり、かんきつの歴史がある。先人が試行錯誤し、代々受け継がれてきた技術や知恵を吸収したい」と話す。
「素材そのもので勝負するには外観だけでなく味や作物の安全・安心が大事」と、有機JASの認証だけでなく、G-GAP(グローバルギャップ、国際的な適正農業規範)の取得も視野に入れる。作り手がいなくなった畑の管理を徹底し、5年後には有機レモンの面積を1ヘクタールまで増やす計画だ。
「有機JASの認証を受けたら、生食だけでなくオリジナルの加工品に挑戦したい」と井上さんは意欲を燃やす。
〈写真:大谷さん(右)に教わりながら摘果する井上さん〉