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酒蔵の要請で水稲「亀の尾」【京都府・8月3週号】

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 【京都支局】京丹後市弥栄町の藤原薫さん(89)は、町内の酒蔵から、明治に誕生した水稲品種「亀の尾」の栽培要請を受け、仲間と共に生産に取り組む。
 藤原さんは農業に従事しながら、農閑期は地元の酒蔵で杜氏(とうじ)を補佐する蔵頭として働く。農地は山に囲まれた野間地区にあり、およそ75アールで水稲を栽培。このうち10アールで作付けているのが亀の尾だ。
 田植えは5月上旬に行い、9月初旬には収穫する。「草丈が非常に長く、背丈くらいになるので、コンバインが詰まって刈り取りが大変。その上、穂発芽しやすく、刈り取る時期が非常に短いのも難点です」と栽培の苦労を話す藤原さん。異品種混入の防止も考え、10年以上同じ耕地で栽培を続けている。
 今年、野間地区で亀の尾を生産するのは藤原さんを含め3人。収穫した米は他の仲間の生産分と合わせて、藤原さんが働く竹野酒造有限会社で醸造。純米酒「亀の尾蔵舞(くらぶ)」の銘柄で販売される。
 同社の行待佳平代表取締役(60)は「亀の尾で搾られた酒は、甘口でキレの良いうま味が特徴です。14年前に3キロの亀の尾の種もみに出合ってから、酒造りは12回。多くの人と出会い、この品種の力強さにほれ込んだ生産者の皆さんの気持ちも込めて仕込んでいます」と話す。

〈写真:亀の尾の生育を確認する藤原さん〉