米・ハワイ州で開かれた環太平洋連携協定(TPP)閣僚会合は7月31日、目標としていた大筋合意を見送り、閉幕した。焦点の知的財産分野と乳製品の扱いなどで各国の利害対立が先鋭化し、溝が埋まらなかった。一方、その他の多くの分野は収れんした模様で、同日発表した共同声明では「妥結間近」を強調。早期妥結に向けた努力の継続を確認した。妥結ありきで突き進む日本政府は、すでに米や麦、牛・豚肉、乳製品など重要品目で軒並み譲歩を示唆。国内対策の検討にまで言及している。しかし、重要品目は地域の基幹作物で、安易な譲歩は国内農業・農村に深刻な打撃を与えかねない。重要品目など聖域確保を求めた国会決議の順守は国民との約束であり、政府には生産現場が「決議は守られた」と評価できる対応が求められている。
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