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防風林「災害対策はデータより人のイメージが大切【2015年7月3週号】」

 ▼三つの台風が同時発生し長雨や日照不足が続く。先日も関東でダウンバーストとされる突風で農業被害をもたらした。気象衛星・観測レーダーなど最新技術のおかげで、雨雲の移動予測が携帯電話の画面で見られる時代。だが、自然災害は依然として減っていない。
 ▼雨雲の配置が同じでも、標高差や地形の違いで降雨量が異なり、局地的な豪雨で土砂崩れを誘発することもある。谷間や小高い場所から常に吹き下ろす地区以外でも、風向き次第では断崖・建物に衝突し発生した吹き返しの風で、安全と思った場所に設置したハウスが倒壊する事例も。
 ▼このような局地的条件による気象異変は、画像や観測データだけで予測するのは難しい。地域の伝承や高齢者の記憶にしかない事象も数多い。東日本大震災の際に、貞観地震(869年)や過去にあった津波の教訓が、地元住民に伝えられていて高台への避難で多くの人命が救われた被災地もあった。
 ▼NHKで放送された震災を検証する番組の中で、専門家が「災害対策の基本はイメージ力だ」と強調した。気象予測などを入手した際に最悪の事態をイメージして、回避手段を判断しなければならない。
 ▼台風予測にはパイプ補強か被覆資材除去か? 病害虫発生予報に要防除か否か? 先端技術で詳細な予測が可能でも、迅速に決断ができる農家や組織の豊富な経験や知識が重要なのだ。