ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

防風林「日本人の国際協力が他国の繁労に貢献【2015年6月3週号】」

 ▼国際協力機構(JICA)が派遣する海外青年協力隊が今年で50周年を迎える。同機構は152カ国・地域に専門家約1万人、協力隊員約千人を毎年派遣、その活動は受け入れ国から高い評価を得ている。明治維新後のわが国も、多くの欧米人技術者を招聘(しょうへい)し産業立国としての礎を築いた。農業も同じ。
 ▼有名なクラーク博士以外に、近代農業の確立と北海道開拓を目的に米国から招いたホーレス・ケプロンやエドウィン・ダンなどの農業技術者は意外と知られていない。ケプロンは米国農務局長を辞し来日、北海道開拓使の技術総監督的な立場として活躍。米国の青年牧場主・ダンの才能を見抜き呼び寄せたのもケプロンだ。
 ▼ダンは馬や牛など牧畜種の改良を進め、西洋式農具を導入、真駒内や新冠に国内初の大規模牧場を造成し飼育技術を伝授した。バターやチーズ、ハムなど酪農加工技術も伝え、国内畜産業に影響を及ぼした。
 ▼任期を終えたダンは帰国するも、翌年に再来日、国内最大の産油量を誇った新潟の油田開発や競争馬の起業化に奔走した。日本人女性と結婚、遠い異国の産業発展に捧げた人生は84歳で幕を閉じた(1962年刊『エドウィン・ダン』ダン・道子ほか共著に詳しい)。
 ▼発展途上の国で先進技術を伝える日本人専門家らの姿が、当時の外国人指導者と重なり、途上国の産業や文化として花を咲かせている。