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防風林「大豆生産への技術と意欲、維持してほしい【2015年6月1週号】」

 

▼日本国内の大豆単収が年々わずかずつ減少傾向にある。水田転換畑の多い都府県平均で2001年産の平均184キロをピークに、13年産にいたっては136キロ。特に湿害を受けやすい作目だが、過去に本作化を目指したにしては生産基盤が脆弱(ぜいじゃく)と言えまいか。
 ▼農研機構・中央農業総合研究センターが、過去15年間の30道県における単収推移を調査した結果、多くが平均単収を下げる中、北海道のほか4県で増加傾向だった。「転換畑での大豆栽培は収量確保が難しい」との言い訳が必ずしも通るとは限らない。
 ▼単収が増加した県は、いずれも1ヘクタール以上の団地化率が高い転換畑産地だ。団地化圃場でのブロックローテーション効果について、同センターは(1)灌漑(かんがい)区域の設定で排水性が向上(2)播種・収穫・除草などの適期作業が容易(3)広範な一斉防除が可能――などを挙げる。
 ▼圃場ごとに異なる収量低下要因を把握し基本技術を細やかに行うべきだが、実践となると労力や時間もかかる。品種選定でも、大粒・外観・加工適性が重視される中で、出芽・苗立ちが優れた小粒品種は実需者からの要望が少なく作付けも多くない。
 ▼農林水産省の大型研究「大豆300A」(単収300キロ、品質A)で得た「耕うん同時畝立て」「狭畦密植」など有望技術を安定生産に生かし、日本伝統食の重要な食材として供給してほしいもの。飼料用米重視の政策変更により、水稲農家から大豆生産技術と意欲が、忘れ去られるようであってはならない。