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2013・14年の水害乗り越えて ―― 農地を守り つなぐ【京都支局・2015年5月4週号】

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 【京都支局】「先人からの農地を大切に守っていきたい」と話すのは、福知山市大江町河守(こうもり)地区にある農事組合法人鬼の里農園の新井春男代表理事(72)。同法人は、2013年から2年連続で水害に見舞われ、大きな被害を受けた。「受け継いだ優良な農地を次代に」という思いを原動力に復興を進めている。
 法人のある河守地区は、13年9月に台風18号、14年8月には集中豪雨で、水害に見舞われた地域だ。
 13年の台風18号による大雨では、由良川が氾濫しポンプ施設などが破損。当時は堤防が未完成で、所有する全ての圃場に泥が流入した。稲は刈り取りを終えていたが、小豆は開花時期と重なり、ほぼ全滅という損害を被った。
 昨年の集中豪雨では完成した堤防の内側で氾濫が発生し、圃場が再び浸水。小豆は半作程度と例年の収量を大きく下回った。大幅な収益減少が立て続き、「これからの経営のことを考えると不安が大きかった」と新井代表理事は当時を振り返る。
 作業員総出のごみ拾いから始め、行政など各方面からの支援も受け、何とか営農再開へとこぎ着けた。「NOSAIの共済金は、体制を立て直すには不可欠だった。本当にありがたかった」と話す新井代表理事。「被害を受けても活動が再開できた大きな原動力は、共済金に加えて、先人や先輩方から受け継いだ優良な農地を自分の代で途絶えさせることは、絶対にできないという思いだった」と語気を強める。
 今年からは、新たに稲発酵粗飼料(WCS)用稲を約80アールと酒造に適した掛米用品種「京の輝き」を約4.4ヘクタール作付けて、復興の足掛かりにする構えだ。新井代表理事は「今年こそ災害のない明るい年であってほしい」と期待を込める。


〈写真:「トラクターのタイヤ部分まで浸水した」と2013年の水害について話す新井代表理事(左)。右はオペレーターの荒井一成(あらいかずなり)さん〉