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防風林「日本産農産物の輸出に港を活用しよう【2015年5月3週号】」

 ▼昨年の富岡製糸工場に続き、八幡製鉄所や端島炭鉱など「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産として認定される見通し。維新後の殖産興業推進のため、貿易による外貨獲得・再生産の役割が大きく寄与した。
 ▼現代では輸出入や人的交流における空と海の玄関口は、東京港と成田国際空港。二つの開港日が奇しくも5月20日だ。
 ▼明治以前の江戸湊(みなと)は、消費物資の流通拠点として繁栄したが、以降は横浜港が国際貿易の中核となる。だが、関東大震災で陸上交通網が崩壊したため、東京港の重要性が問われ国内初の近代埠頭(ふとう)である日の出・芝浦・竹芝を建設、1941年開港と案外新しい。現在、埠頭数も増え貿易量は国内1位だ。
 ▼成田国際空港の開港は78年。地元農民と学生組織との反対運動で工期が遅れ、開港後37年を経たが今なお未完成。拡張工事停滞や都心とのアクセスの不便さなど課題は多い。だが貨物取扱量は5千万㌧を上回り空輸による貿易量は国内1位になった。
 ▼農業の国際競争力強化が叫ばれて久しいが、スケールメリットで大量生産される他国産に勝てる国内農産物は少ない。日本の優位性は、食味・新鮮さなど"クオリティーメリット"だ。裏付ける品種や栽培法、流通技術の知的財産の保全も重要であり、世界各国に向けクールジャパンの普及を急ぎたい。海と空の港が、海外輸出の基点として羽ばたくことに活路がある。