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東日本大震災後、初の田植え ―― 若者呼べる経営目指す【福島支局・2015年5月3週号】

150520_06.jpg 【福島支局】震災の津波被害から復旧した圃場や、農機具などを流失し耕作継続を断念した地権者から請け負った圃場で水稲栽培に取り組んでいるのは、相馬市磯部地区の農事組合法人「グリーンファーム」。同法人は、唯野哲夫代表(67)を含むメンバー6人で構成され、今年4月1日に設立された。唯野代表は「先祖代々からの米作りを絶やすことはできない」と力強く話す。
 磯部地区は、津波で高台にあった10戸ほどの農家を残し、田畑約210ヘクタールが耕作不能となった。唯野代表は2011年10月に同地区で設立された復興組合の組合長も兼任。当時は、地権者を中心に約50人体制でがれき撤去や草刈り作業を行っていたが、現在は、地区外へ新居を求める地権者が増え、作業に従事する人も半減したという。
 今年、復旧作業を終えた直播7.5ヘクタールを含む約35ヘクタールの圃場で、震災後初となる田植えを行った。代かき作業などにはメンバー所有のトラクターも使用。また、メンバーの所有地に育苗用ハウスを設置し、苗管理は作業員などを雇わず、メンバーとその家族で作業を分担して行うなど、効率化と経費節減に努めた。
 今後は、メンバーの高齢化の問題もあり、後継者の育成が急務だという。唯野代表は「黒字経営を続けていけば、次世代の若者に勧めることができる。将来的に安定経営で魅力のある法人にしていきたいですね」と意欲的に話している。


〈写真:大型トラクターで代かき作業〉