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アスパラガス・春夏秋の三季採り ―― 太く甘く高品質に【山形支局・2015年5月3週号】

150520_05.jpg 【山形支局】「『おいしい』という評価をいただくことが何よりの励みですね」と話す酒田市北平沢(きたへいざわ)の阿部徳義さん(60)は、アスパラガス栽培歴約15年。自身で考案した雨よけハウスなどを利用して、春夏秋の三季採りに取り組んでいる。
 阿部さんはアスパラガス栽培を始めた当初、促成栽培に取り組んでいたが、2004年に一度植えた株から毎年収穫できる「定植栽培」に切り替えた。春の収穫後、親茎を伸長(立茎)させ、夏から秋に出る若芽を収穫する春夏秋の三季採りを実現させた。
 「太くて甘いものを長年生産するためには土の管理が重要」と話す阿部さん。3月中旬から5月中旬までの春収穫が終わると、土壌検査を基に土壌改良材や欠乏成分を施す。その後、畝間を耕起し、牛堆肥と自家製くん炭を一面に敷き詰め、夏秋の収穫に備える。
 この時期、立茎させて葉を茂らせ、光合成を促す。根に栄養を蓄え、高品質の夏秋採りアスパラガスを生産するためだ。ただし、葉が混み、風通しが悪くなると斑点病が発生し、翌年の収穫に影響を及ぼす。かといって必要以上に葉を欠くと光合成を弱め、その年の減収につながるため、生育の変化に目を光らせ、適切な管理に努めている。
 地元JAや生協などに出荷。高い評価を得ているが、「作物は手を掛けた分だけ返ってきます。手抜きせず、楽をせず、技術を高めていきたい」と阿部さんは向上心を持ち続ける。


〈写真:「10アール当たり3トンが収穫目標」と阿部さん〉