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ハダニ、アザミウマ 農薬効果の検定法を開発【宮崎支局・2015年5月2週号】

150506_04+05.jpg 【宮崎支局】県立宮崎農業高等学校(宮崎市・矢田憲太朗校長)では、ハダニやアザミウマの農薬効果を判断する農薬効果検定法として「エスマイト検定法」を開発。実証実験をもとに農薬の効果的な散布やコストの軽減など、環境保全型農業の実現を目指す。
 「農薬の人に対する影響を軽減するきっかけになれば」と話す同校の間曽省一(まそ・しょういち)教諭。2012年にハダニの農薬効果の指標に関する研究から、簡単かつ確実な検定法の開発に取り組んだ。
 霧吹きに農薬を入れ、対象昆虫に散布し効果を判定する「虫体散布法」と、丸く切り抜いた葉を農薬のついたシャーレに乗せ、寒天で反応を見る「リーフディスク法」の二つの手法を組み合わせ、「宮農式ハダニの農薬効果検定法」を開発した。
 検証の結果、ハダニの生育の適温が26度であることを発見。その後、葉の表裏間の生育環境の改善や初期設定の簡素化、検定時間の短縮などが図られた。さらに、地域農家の協力のもと、カンキツハダニを対象にエスマイト検定法を利用し、野菜や草花など異なる寄生植物の実用化を研究。同時に、マンゴーの品質低下に影響するアザミウマも研究した。
 その結果、ハダニは1週間、アザミウマは4日間で農薬効果の判断が可能に。ハダニ類に関しては寄生植物に関係なく、検定が可能なことが分かった。
 同校では、エスマイト検定法の実用新案取得と商標権取得を検討中だ。


〈写真上:顕微鏡を使ってエスマイト検定法を行う生徒〉
〈写真下:アザミウマの農薬効果を検証する生徒〉