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防風林「街道を通じて広がった江戸時代の農業技術【2015年4月4週号】」

 ▼長野駅から金沢駅まで北陸新幹線が延伸開業され、雑誌やテレビでは北陸地方の観光案内企画が目立つ。歴史好きには、新幹線のルートが加賀前田家の参勤交代の道とほぼ同じと話題だ。
 ▼前田家は、金沢から北国街道で高岡(富山県)に出て、高田(新潟県)と長野を通り、追分(長野県)から中山道に入って江戸に至る道を多く使った。百万石の行列は2千〜4千人規模の大所帯になる。全長約480キロの道のりを1日当たり約37キロ進み、12泊13日ほどで江戸に着いたそうだ。
 ▼昔の人の健脚ぶりに感心する。時間にゆとりができたとしても歩き通す自信はない。2時間半で済む新幹線の旅で歴史を感じるにとどめよう。
 ▼江戸時代は、五街道などの陸路や水上交通網が発達し、庶民も盛んに旅行した。江戸から片道15日ほどの伊勢参りが一番人気だった。多額の旅費を融通しあう伊勢講が各地にあった。
 ▼伊勢参りなどの道中は、農家には他地域の品種や技術を知る機会になった。時には黙って種を持ち去ることもあったようだ。地域の仲間を代表しての旅だから、手ぶらで帰れないとの意地もあっただろうか。