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ニホンムラサキの栽培法を研究 ―― 紫根染めの復活へ【秋田支局・2015年4月4週号】

150422_10+11.jpg 【秋田支局】鹿角地方伝統の染め技法「古代紫・茜(あかね)染め」の復活と継承を目指す、鹿角市の十和田八幡平草木染の里づくり実行委員会(大森好一委員長=59歳)。地元産の天然染料を確保するため、ニホンムラサキの栽培研究に力を注ぐ。大森委員長は「一度は途絶えた鹿角の伝統を、多くの人に知ってもらえたら」と意気込んでいる。
 研究を始めて3年目の昨年は、6月に約1600株を定植。同市花輪、十和田錦木、尾去沢の3地区4カ所の露地とハウスを使い、さまざまな土壌環境の中で試験栽培している。
 栽培、染めの両方を担当する同委員会の中村香織さん(35)は「ムラサキは発芽率が悪いため、日当たり、肥料などの管理を徹底しなければ良い根は育たない」と栽培の難しさを話す。試行錯誤を重ね、昨年はハウス内で、根の長さが50センチを超えるものを多く収穫できるまでになったという。
 中村さんは「育てたムラサキを見ると、伝統の紫根染めが復活に向かっていると感じられてうれしい」と笑顔を見せる。
 大森委員長は「研究の成果が確実に出てきている。よりきれいな紫色を出せるように、まずは量よりも質の向上を目指したい」と力を込める。


〈写真上:伝統工芸の復活を目指す委員会の大森委員長(右)と中村さん〉
〈写真下:ニホンムラサキの根〉