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ブランド米に独自の栽培規定 ―― 生きものと共生へ【滋賀支局・2015年4月4週号】

150422_08+09.jpg 【滋賀支局】田んぼの生きものの暮らしや環境に配慮しながら、高島市の「たかしま有機農法研究会」(梅村元成会長、64歳)は、安全でおいしい米作りに取り組んでいる。
 現在は農家12戸、会員19人で構成する。耕作面積約14ヘクタールで、主に「コシヒカリ」や「滋賀羽二重糯(もち)」、滋賀県の在来種である大豆「みずくぐり」などを生産している。
 研究会は、「生活者(消費者)」「農家」「生きもの」が共に安心できる関係づくりを目指す。独自の栽培規定に、化学農薬・化学肥料を使用しない栽培方法や、琵琶湖への濁水の流出防止策などの水管理などを定め、「たかしま生きもの田んぼ米」として生産、販売を展開している。
 中でも特徴的な規定に「生きもの共生策」がある。各自の田んぼの周辺に生息する生きものを「自慢の生きもの」として3種類以上設定し、生きものが生息しやすい環境を整えるというものだ。
 梅村会長は、「生きものを守るために、ビオトープや魚が水路と田んぼを行き来できる魚道を設置しました。設置後8年目で全国的に珍しくなっているメダカが群れをつくって泳ぐまでになりました」とその効果を実感する。
 会員の釆野哲さん(35)は「自然環境を守りながら農業を行い、ブランド化していくことが、生きものの生活環境を整えることにつながっています。ただ販売するだけでなく、活動内容を理解してもらいながら販売することで販売チャンネル拡大を図っています。また、高島の魅力を発信していきたいです」と意欲を示す。


〈写真上:魚道を前に、たかしま有機農法研究会の会員ら〉
〈写真下:会員の圃場に生息するモリアオガエル〉