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防風林「食料安全保障問題 ―― 議論喚起の工夫がたりない【2015年4月3週号】」

 ▼中長期的な食料需給の逼迫(ひっぱく)懸念が繰り返し指摘されながら、日本ではなかなか国民的な理解が広がらない。現状では不安要素が少なく、反応がないのは仕方ないのか。
 ▼現実に、年間1700万㌧発生する食品廃棄物のうち、食べられるのに捨てられる「食品ロス」は推計500万〜800万㌧に上る。世界の穀物需給の指標となる期末在庫率は20%台で推移し、安全水準とされる17〜18%を超える。
 ▼新たな食料・農業・農村基本計画では、食料安全保障に関する国民的議論を深めようと、初めて「食料自給力」指標を示した。しかし、輸入が止まればご飯に代わりイモ中心の食事になると話題にする程度で、一般紙の扱いは小さい。
 ▼ただ、潤沢な食料供給を支えてきた土台は揺らぎ始めている。食料生産を担う農家の高齢化とリタイアが進むほか、地球温暖化の進展に伴い豪雨など局地的な災害の増加予測もある。過半を依存する輸入も、経済成長著しい新興国との競合が激しくなる見通しだ。
 ▼無理やりに不安をあおりたい訳ではない。将来に備えた議論喚起の工夫が足りない。