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緑肥で土壌改良、センチュウ抑制 ―― 野菜の食味が向上【島根支局・2015年4月3週号】

150415_05.jpg 【島根支局】栽培に不利な土壌の改良に、緑肥栽培や生分解性マルチを敷くことで、野菜本来のおいしさを引き出す農法を実践している、奥出雲町八川の田部義美(よしみ)さん(56)。生産物の品質の良さで、市場や直接販売する店舗でも一目置かれている。
 「ここの土壌は真砂土で、初期生育が悪く、生産物が腐りやすいので、野菜栽培には向いていません」と田部さん。それを克服するため、土壌に分解され、収穫後にそのまますき込むことができる生分解性マルチを使用している。これにより、水分と肥料分が安定し、初期生育も良くなった。収穫物はやや小さくなるが、柔らかく、あくが少なく甘味が増した野菜ができるようになったという。
 現在、化学肥料・農薬の使用量を基準の半分以下にする、環境にやさしい「エコロジー農産物」として2ヘクタールでキャベツ、ダイコン、ニンジンを輪作し、ハクサイ10アールとタラの芽65アールを栽培している。
 中でも重要なポイントは、菌や害虫の密度を下げることと、肥料を目的とした緑肥栽培だ。
 まず畑にライ麦を播種し、葉物野菜の移植の1カ前にすき込む。収穫後、根菜を播種するために「根腐れセンチュウ」の密度を抑制するエンバクを播種し、同様にすき込み、根菜を播種する。ダイコンは出荷作物でありながら、葉物野菜で問題となる「根コブ病菌」を減らす役割もある。
 害虫対策は、農薬の使用量を抑えるため、フェロモン剤を使用。その他にも殺虫剤として、環境負荷の少ないバチルス菌の散布など、本来いる昆虫などが活発に活動できる土壌作りを目指している。


〈写真:「地域の魅力を発信できれば」と田部さん〉