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防風林「食料自給率の引き上げで成果を【2015年3月4週号】」

 ▼今後10年を見通した農政の指針となる食料・農業・農村基本計画の原案がまとまった。「農林水産業・地域の活力創造プラン」で掲げた「今後10年間で農業・農村の所得倍増」は、記述を紹介して「農業所得の増大」と「農村地域の関連所得の増大」に向けた施策を推進するとした。
 ▼「農業・農村の所得倍増」について、農林水産省の政策審議会企画部会の議論では「年率7.2%の成長は現実的でない」「農村の定義や積み上げる根拠がなく、検証も困難」と指摘されてきた。カロリー(供給熱量)ベースの食料自給率目標を実現可能な観点で見直したこともあり、明記を避けたと思われた。
 ▼しかし、基本計画と併せて策定する「農業経営等の展望」案では、生産額の増大やコスト削減などで農業所得は2013年度の2.9兆円から25年度は3.5兆円に増加。加工・直売をはじめ6次化などの取り組みで農村地域の関連所得は1.2兆円から4.5兆円に増えると試算した。足し算すれば4.1兆円から8兆円に倍増だ。
 ▼本編からは消えた「所得倍増」が、各種の前提条件を置いた農業所得と農村地域の関連所得の試算を足し算するとぴったりと出る。あらためて日本の官僚の頭脳に感心した。
 ▼初めて基本計画を策定した2000年以降、食料自給率の引き上げは一貫した目標だった。しかし、カロリーベースの実績は40%前後で横ばいし、上向かないままだ。基本計画決定後の政策の進め方こそが重要だ。試算ではなく、結果で「ご名算」としてもらいたい。