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防風林を守る ―― ボランティアで植林・防除を20年以上【香川支局・2015年3月4週号】

150325_06.jpg 【香川支局】海から吹き付ける強風や巻き上げられる潮から、農作物や園芸施設を守ってくれる防風林。観音寺市有明浜沿岸に広がるおよそ39ヘクタールの畑作地帯は、防風林に守られた県内有数の園芸団地だ。防風林がマツクイムシなどで減少を続ける中、「有明出荷組合」(セロリ、トマトなど)と、「新田出荷組合」(「金時人参〈にんじん〉」、イチゴなど)では互いに協力し、20年以上前から毎年、植林や防除などの保全をボランティアで続け、農業被害の軽減に努めている。
 「防風林の存続が農業の存続につながるんや」とは、有明出荷組合の岩田悟司組合長(観音寺市八幡町、61歳)。新田出荷組合の池田英文組合長(同市室本町、68歳)も活動を「季節風や台風から畑を守ってくれる松林への恩返し」と話す。
 保全管理は、1.3キロほどの沿岸部分。毎年2月上旬にウバメガシ約200本を植林し、5、6月にマツクイムシ防除と草刈りを行う。
 15年ほど前から、観音寺市役所も対策に乗り出した。総務部総務課資産経営係の平岡敬次係長は「植林は行政が苗木を用意して、出荷組合の方々にはボランティアでお願いしています。両組合の精力的な活動支援で、自然災害の軽減だけでなく景観も良くなっています」と話す。
 松林が、マツクイムシなどで減少を始めたのは30年ほど前から。セロリ農家の三好洋二さん(60)は「周囲の風向きが変わり、園芸施設被害が増えてきた」と当時を振り返る。
 作業の効果について、組合員たちは「有ると無いとでは風がぜんぜん違う」「成果が木の成長で一目瞭然」と話す。有明浜の観光客や地域住民も「枯れ木が緑に変わってきた」と喜ぶ。今後も市と協力して保全作業を続けていく考えだ。


〈写真:ウバメガシ170本を植樹〉