ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

防風林「ウメ輪紋病 地域挙げて対策を【2015年3月1週号】」

 ▼春の訪れを告げる梅の花は、日本人が好む景観の一つだろう。観梅を楽しめる名所が各地にある。ただ最近は、関東や近畿でウメ輪紋病がじわりと広がり、万全の警戒と対策が必要になっている。
 ▼兵庫県伊丹市は、市の緑ヶ丘公園の梅林でウメ輪紋病ウイルスの感染が見つかり、9日以降に約50種400本ほどの梅をすべて伐採すると発表した。公園には見納めとなる花を楽しもうと多くの人が訪れているという。
 ▼国内では、東京都青梅市で2009年に初めて見つかった。梅の公園を中心に農家の園地が連なり、吉野梅郷と呼ばれる観光地でもあったが、感染の広がりから、昨年春には公園のすべてと周辺地域の樹を伐採してしまった。市は、再生計画を策定し、16年度からの植え直しを予定する。
 ▼ウメ輪紋病に有効な薬剤はなく、感染した樹や苗などの処分とウイルスを媒介するアブラムシの防除が対策の基本だ。葉の緑色が薄いまだらになったり、ドーナツ状の輪紋が感染を確認する目安になる。
 ▼これ以上の感染拡大を許せば、和食を代表する梅干しの生産にも影響する。地域一体で対策を励行し、病害を撲滅してほしい。