「いい牛を育てても価格で評価されず、憤りを感じている」と黒毛和牛200頭を肥育する福島県棚倉町岡田鍋沢の沼野裕一郎さん(34)は訴える。福島第1原発事故からまもなく4年になるが、福島県産の黒毛和牛は、東京食肉市場での枝肉平均価格が全国平均と比べてキロ200円程度安い推移から脱却できないままだ。全ての県産牛肉は放射性物質検査を実施して基準値を超える例はなくなっている。それでもなお、取り扱いを避けるスーパーや飲食店があり、風評被害との闘いは続いている。県は、生産者と消費者の交流イベントなどを開催し、福島牛をはじめとする農畜産物のおいしさと安全性をPRするものの、福島ブランドの再興に向けた道のりは遠い。
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〈写真上:「牛飼いにはロマンがある。正しく価格で評価され、昔みたいに楽しく牛飼いをしたい」と話す博さん(右)と裕一郎さん〉
〈写真下:飼養管理を父に任せ、裕一郎さんは東京都内で消費者に安全性をPRする〉