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復興へ農家茶屋 ―― 地域のつながり守る一助に【福島支局・2015年2月3週号】

150218_09.jpg 【福島支局】「被災したこの地の一日も早い復興を。そしてその一助になりたい」――伊達市霊山町小国地区で古民家を利用した茶屋を営む樋口高志さん(42)は、もちやおこわを中心に東北各地の郷土料理で観光客や地元住民をもてなす。
 樋口さんは会津地方の出身。関東圏で働いていたが、農業を営みながら飲食店を開く夢を抱いてJターンした。小国地区で古民家を自力で改装しながら準備していたとき、地震が発生、東京電力福島第1原発の事故が起きた。
 小国地区は特定避難勧奨地点に指定され、避難指示や賠償金が家ごとに違い、農業再開も進まない状況だ。「住民は精神的に大きな打撃を受けていました。住民同士のつながりを持ち続けるため、自分が新しいことをこの地で起こすことに意味があると考えています」と樋口さんは話す。
 国などの支援を受け、農家茶屋「風知草(ふうちそう)」を昨年8月に開店。お披露目会に地元住民を招いたところ、約30人が参加し、今後の励みになったという。
 献立は、会津地方の「こづゆ」、山形県庄内地方の「弁慶飯」など郷土料理だ。もちやおこわはパック詰めでJAの直売所で販売する。「もっと東北各地の料理を取り入れたい」と樋口さんは意欲的だ。


〈写真:メニューを手に樋口さん〉