ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

原発事故で全滅した原木シイタケ 出荷再開へめど【宮城支局・2015年2月2週号】

150211_10.jpg 【宮城支局】「やっとここまできた」。登米市で原木シイタケ(露地・施設)を経営する芳賀裕さん(56)は、福島第1原子力発電所事故の影響で露地栽培用の原木が全滅したが、安全・安心なシイタケを目指しながら栽培地復旧に力を注ぐ。
 施設内で栽培するシイタケは、年植で原木1万4千本のうち4200本。「施設用が無事だったのが、せめてもの救い」と胸中を明かす。
 温度・湿度を見極めて管理し、1日平均15キロを収穫。冬場はハウスの温度調整に遮光幕を活用するほか、役目を終えた原木をまきとして利用するなど、コスト削減にもつなげている。県内の直売所や料理店へ出荷、通信販売も手掛けるなど販路拡大にも取り組む。
 露地栽培の原木は、出荷制限解除に向けて準備を進めている。「原木の確保が一番の問題だった」と芳賀さん。県外から安全な原木を調達した。昨年8月には市内で露地栽培の出荷制限が解除された生産者が誕生した。芳賀さんも現在、出荷再開を目指し申請中だ。
 芳賀さんは「露地シイタケが出荷再開できるまであと少し。早く皆さんに、独特の香りと濃厚な味わいを持つ露地シイタケを食べてもらいたい」と話している。


〈写真:「独特の香りと濃厚な味わいを持つ露地シイタケを食べてもらいたい」と芳賀さん〉