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防風林「潜在生産力の発揮に人材確保は不可欠【2015年2月1週号】」

 ▼3月のとりまとめに向け、食料・農業・農村基本計画の見直し検討が農林水産省の農政審議会企画部会で進められている。食料自給率目標に加え、「わが国の農林水産業が有する食料の潜在生産力」を示す「食料自給力」の指標化が課題の一つだ。
 ▼豊かな食生活が維持される中で深く考える機会が少ない食料安全保障について、指標を示して国民的議論とし、食料の安定供給確保に向けた取り組みを促すと説明する。生産者には農地などの農業資源や農業技術のフル活用、消費者には国産農林水産物の積極的な消費拡大や農山漁村の重要性に対する理解促進を働きかける。
 ▼現行案では、現在の農地と再生利用可能な荒廃農地の面積を基本に、一定の栄養バランスを考慮して主要穀物中心に供給熱量を最大化する場合、いも類を中心に栄養バランスは考慮せず供給熱量を最大化する場合など、四つの試算を過去からの推移を含めて示す予定だ。
 ▼考え方は分かるが、生産に必要な労働力は確保されているとした試算の前提が納得できない。農業構造展望の説明資料では、水稲など土地利用型作物で基幹的農業従事者が1人10ヘクタール程度を耕作するとして約30万人、畜産などと合わせると農業生産の維持に約90万人が必要という。毎年2万人の青年層を就農・定着させないと90万人を安定的に維持できない計算だ。
 ▼現在の実績は半数の約1万人でしかない。仮定の試算とはいえ、潜在生産力発揮に不可欠な人の問題を無視していいものか。