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イチゴ品種「真紅の美鈴」を開発 ―― 産地支える力に【千葉支局・2015年1月4週号】

150128_07+08.jpg 【千葉支局】大網白里市の成川昇さん(73)は、イチゴ品種「真紅(しんく)の美鈴(みすず)」を開発した。真紅の外観と、さらに果肉の中まで深い赤色が特徴だ。都内の洋菓子店や法人からの問い合わせの他に、新聞やテレビ、ホームページなどで知った人からの注文も増えている。
 成川さんは千葉県農林総合研究センターのOBで、10年ほど前からイチゴの育種に取り組んでいる。真紅の美鈴は、昨年9月に商標登録され、2011年に品種登録を出願。現在登録の決定を待っている。
 「地域に適したイチゴを作りたい。種子からイチゴ品種の育種に挑戦したい」との思いから新品種の開発を始めた。成川さんが退職する当時、県では種子からのイチゴ品種の育種計画はなかった。種子からでも可能なのではと考えていた成川さんは、「新品種ができなくても先鞭(せんべん)をつけたかった」と話す。
 真紅の美鈴は、甘味の良い「ふさの香」と全国的に栽培され人気を集めた「麗紅(れいこう)」を交配し、選抜して誕生した。どちらも成川さんが農林総合研究センターに在職中に開発した品種だ。
 糖酸比は、県内で主に栽培されている「とちおとめ」の15.8を大きく上回る20.9と高く、赤色の色素成分でもある「アントシアニン」の含有量も約3倍だという。
 「観光イチゴ狩りが盛んな本県で誕生した真紅の美鈴は、味や日持ちも良く、流通性に優れている。ますます人気を集めるのではないか」と成川さんは話す。


〈写真上:「真紅の美鈴」を手にする成川さん。「近隣の農家数軒で栽培され、問い合わせなどが増えている」と話す〉
〈写真下:「真紅の美鈴」〉