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防風林「より精度の高い気象予測へ【2015年1月3週号】」

 ▼宮城県の米農家を取材した際に「寒だめし」と呼ぶ気象予測の話を聞いたことがある。寒の入りから立春まで約1カ月の天気と気温、風向きを記録し、一定の法則で1年の暦に当てはめる。地域の古老に教わったという。
 ▼「当たり外れはあるが、気温の推移や降水の多寡などの傾向はだいたい合っている」との評価だった。農閑期とはいえ厳寒の中で計測を続ける負担は大きいはずだが、地域の寒だめし仲間との予測結果も楽しみと話していた。
 ▼寒だめしほど複雑な方法ではないが、昆虫や花木の様子を見て播種など作業の目安にしたり、気象の変化を予測する言い伝えが各地にある。「地域の経験を集約した言い伝えの方が天気予報より正確だ」と信頼を寄せる農家もいる。
 ▼科学技術の進展で予報の精度は増している。気象庁は、水稲の刈り取り適期を算定する積算気温予測の改善例を紹介し、情報活用を呼びかける。過去の予測値を基に算定すると平年値を使う従来法に比べ正確に予測できると分かり、山形県で実用化された。
 ▼地域の気象変化を高い精度で予測できれば営農のリスクは相当減る。よく的中する言い伝えの理由なども解明できないだろうか。