【島根支局】「最近の品種と比べると虫がつきやすく栽培に苦労しますが、風味があり、柔らかくておいしい」と話すのは、安来市の在来品種「飯島(はしま)かぶ」を栽培する安来市安来町の野々村花子さん(74)。ほとんど作られなくなった同品種を守ろうと、栽培に力が入る。
飯島かぶは赤い丸カブで、表面はざらざらしているが、皮をむいた身が柔らかいのが特徴。昔から漬物用として栽培していた。長くこのカブを守ってきた奈良井冽(れい)さん(85)は、自家採種を続け、種子を出荷。その手伝いをしていたことで、野々村さんの栽培が始まった。
現在、栽培をやめた奈良井さんだが、「この辺りでカブと言えば飯島かぶといわれるほど。かつてはどの家庭でも栽培されていた。今では栽培者がいなくなり残念」と話す。
他の品種と交配しないように気を配る野々村さんは「量は少しですが、この伝統のあるカブを途絶えさせないよう守っていきたい」と、栽培を続けている。
〈写真:飯島かぶを手に野々村さん〉