ハウスと露地でスプレーギクを栽培する横川町の辻清美さんはこれまで、8月に他界した父・春実さんと数多くの農機具を製作してきた。
キク栽培で特に手間がかかるのが、病害虫対策として1週間に1回程度行う薬剤散布だ。3年前、「経費を抑えて作業の効率化を図ろう」と2人でハウス内の薬剤散布機を製作した。
購入した材料は散布用のノズルだけで、あとは産業廃棄物を利用。レールの役割を果たすC鋼に沿って、ノズルを付けた動力のモーターが移動する。9棟のハウスすべてに設置。10アール当たり40分かかっていた散布作業は15分程度に短縮している。灌水(かんすい)や液肥の配管も2人で行い、タイマー付きのサイドカーテンなども製作した。
春実さんは生前、「みんなは時間があればゴルフをするけど、農機具を作る方が楽しい」と話していたという。辻さんは「父といろいろなものを作りました。材料探しに苦労したけど、農作業が楽になりました」と話す。
<写真:ノズルを取り付ける辻さん>