切り花は出荷する際、根元の球根部分を除去しなければならない。当初は1本ずつハサミを使って除去していたが、「あまりにも手間がかかるので、機械でできないか」と考えたのが、加治川村の渡辺孫一さん。そして思いついたのが、廃品の籾摺り機(もみすりき)を利用するアイデアだ。
構造は〈1〉手作りの台の上に籾摺り機のロールを取り付ける〈2〉2つのロールにコンバインのわらカッターを取り付ける〈3〉動力は廃品のモーターを使用し、プーリーを介して回転速度を調節する〈4〉水平に寝かせた球根付きのチューリップを上からロールに通すと、きれいに球根がむけ、わらカッターが根の部分を切る--という仕組みだ。球根は水分が多いので、ロールにはビスを打って滑らないようにし、汁が飛ばないよう、取り外しできるカバーを取り付けている。
部品のほとんどが廃品を利用し、「買ったのは、動力を伝えるベルトくらいです」と渡辺さん。ほとんど自分のアイデアだけで作り上げた。この機械の最大のメリットは、球根の皮に隠れている茎(2〜3センチ)を生かせること。根元から第一葉までの長さが、出荷時の規格(価格)に大きく影響するため、ただ球根を切り落とすのではなく、この方法をとり入れたという。
<写真:自作の「切り花球根除去機」を使って、チューリップの球根を切り落とす渡辺さん>